飯縄権現堂のキツネ12

飯綱権現の上部には、稲荷信仰のシンボルである狐が対をなすように二体並んでいる。
左の狐は鍵をくわえ、右の狐が頭上に玉を乗せているのが特徴だ。
狐がつかえる神様が五穀豊穣の一説には、鍵は穀物を保管する蔵の鍵、
玉は倉庫を指しているとされるが、正確なことはまだ明らかになっていないとのこと。
実はこの玉と鍵をくわえた狐は、花火大会で聞こえてくる「たまや~」の掛け声のルーツでもあるようだ。
江戸時代、大量の火薬を扱う危険な職業の花火師たちのあいだで、
稲荷に安全を祈願することが流行したそう。
そんななか、ある花火師が自らの屋号を稲荷の狐にならって「玉屋」と名付け、
のれん分けした分家を「鍵屋」とし、大変人気な花火師になったため、
「たまや~」「かぎや~」のかけ声が生まれたんだとか。
稲荷の歴史とともに生き続ける二匹の狐を、ぜひチェックしよう。